ふんどしの語源
「ふんどし」という言葉は江戸時代に普及したもののようです。それ以前は「たふさぎ」と呼ぶことが多かったらしく、古い文献ではたふさぎに「犢鼻褌」という漢字を当てています。
ふんどしの語源には諸説あります。私には語源について考察する能力はないので各種辞書や文献に載っているものを列挙しておきます。
ふんどしの語源
- 一、「踏み通し」がなまったものであるとする説。
- 二、馬や犬をつなぐ紐である「踏紐(ふもだし)」がなまったものであるとする説。
- 三.朝鮮語でふんどしを表す「褌衣」をhun-t-osと発音することから、朝鮮語から来ているという説。
- 四、「ほど(陰部)」にあたることから「ほどし」となり、さらに転音してふんどしになったとする説。
- 五、「糞土止」から来ているという説。
一般の辞書に採用されているのは一と二の説です。三の説ですが、朝鮮語には「フントス」などという言葉はないという人もいて、良くわかりません。
朝鮮語に詳しい方がいらっしゃったらご教示願います。五、はまあ半分冗談の当て字でしょう。
犢鼻褌の語源
犢鼻褌(とくびこん)の「犢」の字は子牛を意味します。ふんどしを締めた股間のふくらみが子牛の鼻にていているから、というのが犢鼻褌の由来です。
支那から伝わった犢鼻褌という漢字に日本人は「たふさぎ」というやまとことばを当てました。「たふさぎ」については後述します。
褌という漢字について
では、犢鼻褌の「褌」という漢字の字本来の意味はどうなのでしょう。「軍」は会意文字で、車でまるく取り囲んでいる状態を表します。そこから派生して、「軍」には二つの意味があります。一つは「陣地」「軍隊」「兵隊」の意味で、もう一つは「めぐらす」あるいは「まるくなる」という意味です。「運(はこぶ、めぐらす)」「渾(まるいかたまり)」という場合は後者です。「褌」は衣扁に「軍」と書きますが、軍隊の方の意味ではなく布でまるく取り囲むことを表しています。
たふさぎの語源
褌の別称として「たふさぎ」があります。たふさぎの語源にも諸説があります。
- 一、 陰部を手で隠したことから、「手塞ぎ」となりこれから転じた。
- 四、 腰から布を下げたことから「太布(たふ)下げ」と呼び、これがなまった。「たふ」とは樹皮から作った布の古い言い方。
越中褌の語源
越中とは現在の富山県付近を指す言葉ですが、そこが越中褌発祥の地であるというわけではなさそうです。
- 一、 江戸時代の延宝年間、越中という遊女がおり、客に自分の縮緬の腰巻を割いて。客の褌としたことに因む。
- 二、 上州の秋元越中守が利根川の河川工事に従事する人夫に着けさせたのが始まりであるとの説。
- 三、天明・寛政年間に松平越中守が、倹約のため六尺褌より布が少なくて済む越中褌を奨励したことが由来であるとする説。
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